JEMA BLOG

今日から(10月4日火)、朝日新聞・生活面の「患者を生きる」コーナーで、内膜症が始まりました。

 

JEMAは、電話とメールで少し取材を受けています。

最初に記者さんから連絡があったのは5月だったか6月だったか、電話で2~3度、長々とお話しました。

 

まず、患者さんを紹介してほしいと言われました。

メディアに患者を紹介してほしいと言われると(設立当初から10年ほどは、女性誌、健康誌、新聞、テレビ、ラジオ、などの取材はよくあった)、必ず、20代シングル、30代不妊まっただ中、40代、の最低でもこの3タイプを出すよう条件を出します(が、字数制限か時間制限か理解されずか、揃えてくれたのはほとんどなかった)。

なぜかというと、各年代を網羅し、かつ、それぞれが標準的な患者像でないと、100万人~300万人もいる女性たちの多くに役立つ医療情報には、なりにくいと考えるからです。

 

03年夏までの会員制時代は(ほぼ事務局が東京の時代)、事務局スタッフも多く、毎月の運営会議は会員なら誰でも参加でき、夜の会食もそうだったし、全国に自助グループがたくさんあって東京内外のグループも結構あったなどで、私(や事務局長)が会ったことがあり、病歴の全体像を把握できて、直接依頼できる内膜症女性が、シングルから不妊問題まっただ中から40代まで多彩にいました。

しかし、サポーター制になってからは、会員という人はおらず、自助グループは制度変更時に基本的に解散してもらっており、事務局スタッフとボランティアスタッフもわずかになっています。

今だってクローズ掲示板2本に350人以上の登録者はいますが、実際に会ったことがあって病歴をほぼ把握できていて取材を受けてくれるかと直接お願いができるのは、結局スタッフやボランティアスタッフさんしかいないわけですが、いかんせん40歳超えだらけ(苦笑)。

子宮がとっくにないとか、超低用量ピルで最後の仕上げをしている人ばかり(90年代から現在に至る日本の内膜症医療の変遷や激動を語るにはピッタリですけどね)。

それで、今回の朝日の記者さんには、無理だとお返事しました。

 

ただ、朝日の記者さんからは、その後プッツリと何の音沙汰もなくなり、内膜症は難しいから(私がいろいろ難しい事を言ったし)、扱いづらくて流れたのかなと思っていました。

そんな、もはやすっかり忘れていた先週末、記者さんから、「来週からシリーズを始める」とメールが届き、2~3確認をということで、電話で軽くお話しました。

 

朝日新聞をとっていない人はasahi.comのライフ面の医療・健康で、「患者を生きる」コーナーは読めますが(バックナンバー一覧も)、新聞掲載より2日ほど遅れるみたいですね。

 

 

さて、今日の記事の内容は___

登場した女性は・・・・・26歳、おお若くていいな!と思いましたが、いきなり文頭が、「ドロリッ」から始まってますよーー!

登場してくれた女性には大変申し訳ないけど、こりゃあ内膜症の一般的タイプとは言えないなあ。

30代後半や40代には過多月経"もある"人も結構いますが(年齢的に筋腫や腺筋症の併発が増えるから)、この人が月経量が多くて困ったのは高校から20歳あたりまでで(明日の掲載でその後は薬物治療開始と語られるんだろう)、高校に入る頃には昼間でも夜用ナプキンを2時間おきに交換しなければならなくなった、とか、座布団を汚すのは度々、なんて書いてあります。

読んだ人たちに、内膜症って痛みと過多月経の両方がある病気なのね、それも若いうちから、なんて思われないか、ちと心配。

 

"月経は痛いが量の問題はとくにない"、というのが最も一般的な内膜症女性です。

2日目3日目に爪の大きさ程度の塊が出るくらいは、普通のことですよ。

  

次に、左右卵巣にチョコ(開業医のエコー検査)4~5センチというのも、26歳にしては早いほうですね。

 

おっと、このチョコの説明、コワイぞ!!

  「内膜組織が卵巣に入り込み、古い血液がたまってチョコレートのような塊になる」

おいおい、チョコのような塊(カタマリ)??

チョコのCMみたいにバリッとかじれちゃうみたい。

違いますよ、血液なんだから、固形じゃなく、液体。

チョコレート嚢胞と呼ばれるのは、チョコレートを湯煎で溶かした時のような色と性状になるからです。

バレンタインチョコとかチョコフォンデュを自作した人は、イメージしやすいですね(そうそう、夜店のチョコバナナタワーで流れてるみたいの)。

 

ではここで、しっかり解説しておきましょう。

チョコレート嚢胞のでき方は___

・最初の何年かは、下腹部臓器の表面に、ポツ、ポツと病巣ができ、癒着も少しづつ増えていく。

・卵巣表面にあった病巣が、排卵時に、たまたま卵巣の中に入り込んでしまう(この前かこの少しあとか不明だが、卵巣のそのあたりが周囲の臓器や腹膜と癒着する)。

・病巣はどこにあっても基本的にときどき出血を起こす(月経と同時とは限らない)。

・卵巣の内部に入った病巣に出血が起こると、そこで血液が溜まった袋ができる。

・ときどき出血するので、少ーしずつ袋がふくれていく(ただし10センチ以上はめったにない)。

・ところが、月日とともに、血液中の水分が周囲に吸収されて減っていくが、血球はしっかり残るから、ドロッとなっていく。

・赤血球は酸化するので、色は鮮血の真っ赤から茶色っぽく変化していく。

・パーンと破裂するのはJEMAデータでチョコの10数%だが(大きさではなく、チョコのあり方によるようだ)、ジョワッと少ししみ出ることは結構あるようで(ふだんより強く痛む)、それで、チョコのある卵巣は、そばにある子宮や卵管や腹膜などとの癒着面が複雑に増えていく。

・チョコそのものは痛みの原因とは言えないが、こういった癒着と、癒着に囲まれて狭く押し込められた圧力などで、痛む。

  

 

記事に戻ってと、 

医師は誰かしら・・・・・お、群馬の家坂清子医師だ、いいじゃないですか!

日本のピルの専門家として著明なお1人ですよ、思春期医療もお得意。

 

内膜症医療の専門家なんていないに等しいので(内膜症の腹腔鏡手術が上手な医師たちはいますが)、実は、ピルに詳しい医師(少なくともピル知識が古くさくない医師)が、内膜症女性の長い治療人生では良いパートナーになるケースが多いのです。

 

 

ところで、

何ヶ月ぶりかの記者さんの連絡を受け、先週末に、asahi.comで「患者を生きる」のバックナンバーから他の病気を少し読みましたが、個人にものすごーーくスポットをあてる手法なんですねえ、驚きました。

内膜症でいえば、100万人とも300万人とも言われる、10代から50歳前後までの非常に多彩な患者さんのなかの、たった1人や2人のA子さんやB子さんについて、その個人的な実際の病状や治療経過や生活を、5~6日にわたって、短い文章で、毎日待たされながら、読んでいく手法。

 

明日の展開はいかに・・・・・

 

10月4日(火)夜 (5日未明修正加筆)

 

 

 

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