JEMA BLOG

ブログJEMAでは、2011年の最新の医学・医療情報にもとづいた、子宮内膜症(以後内膜症)のキーポイントを、つづっていきたいと考えています。

 

で、一番最初のキーポイントは、これに決めました。

 

★ 内膜症は発症や発見から閉経まで、ピル(別名OCやLEP)でコントロールする病気なので、内膜症の女性や、そうかもしれない女性は、今痛くても痛くなくても、ピルを日常生活に取り込もう。

 

 *保険適用が内膜症のものと月経困難症(月経痛)のものがあるが、どちらでも良い

 *エストロゲン含有量が最も低い超低用量ピルは(超)

 *中用量ピルはできればやめておきましょう

 

日本の病院やクリニックで病気の治療薬として3割負担で処方されるもの

  ルナベル、ヤーズ(超)、(ルナベルの超低用量タイプが数年以内に登場する予定)

日本の病院やクリニックで自費診療(病院が自由に価格設定できる)で処方されるもの

  オーソM、マーベロン、トリキュラー、アンジュ、ノリニール、シンフェーズ、オーソ777

自己責任としてネットの個人輸入店で購入できるもの

  マーシロン(超)、メリアン(超)、ヤスミンほか

   この当たり前の3製品がないなど世界でも日本くらいのもの。各ピル企業の日本支社と厚労省がサボりすぎたために、患者が個人輸入するというリスクを負うはめになっている。

 

 

人の持病というのは、いろんな治療をしても完治や治癒(英語ではcure:キュア)をすることはなく、長年つきあっていく病気のことで、慢性疾患とも言います。

内膜症も、いろんな治療をしても完治や治癒してくれる治療法は現時点の医学・医療にはないので、10代~閉経までの女性の数%~10%くらいが持ち続けていく、慢性疾患です。

 

内膜症ができる原因はそれほどわかっていませんが、いろんな遺伝子といろんな環境や体質や状況のようなことが複雑に関係しあって生まれてくると考えられています(多因子疾患という)。

これは、がんを含めた現在の多くの慢性疾患と同じ説明なんですよ。

同じく、生まれた内膜症が進んでいく要因も、やはりかなり複数のことが複雑に関係しあっていると考えられています。

 

昔、あるいは今でもそう説明する医師もいるかもしれませんが、月経(生理)のせいでとか、女性ホルモンのエストロゲンのせいで、発症するとか進行するという説明は、当たっていません。

 

ただし、ふつうの月経周期(生理)を毎月繰り返していると、年々進んでいくのは確かです。

また、妊娠期間中は進まないのも確かです(緩和することも)。

また、閉経後に新しく生まれたり悪化することも基本的にはありません。

 

また、避妊におけるピルの効果や問題を調べるための欧米の壮大ないくつかの長期データのなかで、ピルを使っている群と使っていない群を比較したら、使用群のほうが明らかに内膜症が少ないという事実も、20世紀にはすでにわかっていました(他にも減る病気は、卵巣がん、子宮体がん、大腸がん、良性卵巣のう腫、良性乳房疾患、リウマチ、骨粗鬆症、貧血などなど)。

 

そして、1960年代に世界に登場したピル(最初は避妊薬として)よりもずっとあと、80年代や90年代に登場してきたダナゾール(ボンゾールなど)やGnRHアゴニスト(ナサニール、リュープリンなど)を、内膜症に使うと、結局はピルと同じく排卵が止まるので(薬の働き方はピルと真逆だけど)、内膜症が緩和するのも事実です(副作用はピルよりずーっと多彩に多発するが)。

なお、日本にピルがちゃんと登場したのは1999年ですから(世界で最後とか)、そもそものスタートが40年も遅れまくっていますね~

 

で、これらの状況証拠から、排卵が止まっている間は(月経のあるなしに関わらない)、内膜症はあまり進まないし、痛みなどの症状も緩和するということが、世界的には20世紀からちゃんとわかっていました(日本では今70代の医師たちのなかには当時から知っている人々もいる)。

 

これらの結果、

・ピルが世界に登場した1960年代から(最初は高や中用量で、1970年代前半から低用量、1990年前後から超低用量も加わった)、世界的にピルが内膜症の基本治療薬だった。

 (日本では月経異常治療薬として薬局で市販もされたが、1972年に市販禁止になり、以後中用量ピルは処方薬になった)

 

・ダナゾールやGnRHアゴニストが登場したとたん、1980年代あたりからこれらが主流になった。

 

世界では21世紀になる前に、日本ではかなり遅れてつい最近、ピルが主流に戻った。

 ピルに少し遅れて登場していたプロゲスチン(黄体ホルモン剤)も、再認識されるようになった。

 ちなみに、世界では、ピルとプロゲスチン(黄体ホルモン剤)をまとめてプロゲスチン(プロゲステロン作用薬)と表現する場合も多い。

(日本はピルの登場は世界に40年も遅れたが、主流に返り咲くのは10年ほどで追いついた!!)。

 

この変化の大きな流れは、医学・医療の研究によるものと、先進国に共通の医療経済的なことと、世界中の内膜症協会たち(JEMAも)が1980年代から今もずーっと活躍し続けていることなどに、よるものです。

 

9月9日朝 (夜、修正加筆)

 

 

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