JEMA BLOG
2年3か月ぶりのブログ再開です。

前記事、2013年9月30日以降、ピタッと何も書けなくなったのは、その年末から始まったOC(内膜症や月経痛の治療薬、あるいは経口避妊薬)による血栓症死亡報道をうけ、JEMAとしてなんと書いていいのか迷う日々が始まったからでした。

OC(ピル)についてある程度知っている人なら、大勢の服用者の中にはまれに血栓症になる人たちが出ること、その中で亡くなってしまう人たちもごく少数ながら出てしまうことは、OC(ピル)のA to Zの知識として、当たり前にわかっていたことです。

しかし、この時のヤーズ(バイエル社)の血栓症死亡報道で知ったのは、8月の女性が20代(月経痛治療、ニキビ治療、月経不順で使用、服用2日目に発症)、10月の女性はなんと10代(内膜症の月経痛治療で使用、服用1年半ごろに発症)だったというのだから、あまりの若年者に、もう大変なショックを受けてしまいました。

日本でもすでに血栓症は何十人か出ていて、30代の女性が亡くなっているということは、1~2年前にノーベルファーマ社(ルナベル開発企業)から簡単に聞いていました。
また、ヤーズ(超低用量タイプで世界ではYazという)と、Yasmin(日本にはないがヤーズの低用量タイプ)について、欧米では以前から血栓症が問題になり、とくにアメリカで大量の訴訟が起こっていることも知っていました。

それでも、世界中の人が読めるこのJEMAブログで、いったいなんと説明すればいいのか、ただただ迷うばかりだったのです。

といいつつ、実は、毎月2回発行し続けているまぐまぐの有料メールマガジン「JEMAネット通信(2004年3月発刊)」では、2013年11月1回目の記事からほぼ連続で、血栓症問題について情報提供し続けました。

それらを書くために調べたところ、以前は日本人は欧米人ほど血栓症は起こらないという定説だったのが、循環器の血栓症の基礎研究が進み、日本人の血栓症リスクは欧米人とさほど変わらないとわかってきた、ということです。


そして、迷う日々に追い打ちをかけたのが、2014年1月の厚労省発表でした。
ヤーズで3人目が亡くなったことから(40代、筋腫の月経痛治療で使用、1年すぎに発症)、「ヤーズに安全性速報(ブルーレター)」が出たのです。

そして、ヤーズとルナベルというLEP(レップ:低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:日本だけの表現で内膜症や月経痛の治療薬としての保険適用を持つOCのこと)と、すべてのOC(ピル:経口避妊薬)の、添付文書が改訂されました。

ブルーレターってなんぞやと調べたところ、1年に1つ程度しか出ないキツイ通知で、迅速な注意喚起と対応をせよ、ということだそうな。
その上に数年に1つしか出ないイエローレター(回収命令)というのもあります。

この数日後に、毎年恒例の内膜症の学会(エンドメトリオーシス学会)が鹿児島でありましたが、学会中にこの大問題に関する話はさして出なかったので、懇親会で、JEMAとして、日本産科婦人科学会理事長に早急な対処を訴えました。

なお、血栓症による死亡者は、内膜症や月経痛の治療で保険適用のあるヤーズやルナベルだけでなく、自由診療の経口避妊薬であるマーベロンやオーソMなどにも出ています。


日本産科婦人科学会の関連情報

「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ」

「月経困難症治療剤ヤーズ配合錠を服用される患者様とご家族の皆様へ」




このあとも、少々記事を書きますが、あわただしい年末ですので、項目列挙程度になります。

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