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EBMに基づく診療ガイドライン


● 不妊の治療


確定診断された子宮内膜症性不妊の治療
(Treatment of endometriosis-associated infertility in confirmed disease)


子宮内膜病変の治療

ホルモン治療
A 軽症から中等症の子宮内膜症では、妊孕性改善のための排卵抑制〔J注:ホルモン治療〕は無効で、この単独ホルモン治療は推奨できない。
公表エビデンスは、より重症の子宮内膜症について言及していない。
信頼度1a


手術治療
A 軽症から中等症の子宮内膜症で、妊孕性改善のために病巣焼灼と癒着剥離の両方をすることは、診断的腹腔鏡〔J注:見るだけの手術〕単独と比べて有効。 信頼度1a

上記の推奨は、腹腔鏡手術(±癒着剥離)と診断のみの腹腔鏡手術を比較したよく似た、しかし結果が相反する2つのRCTのシステマティック・レビューとメタアナリシスに基づいている
。しかし、ワーキング・グループの何人かがこれらのエビデンス・レベルに疑問を持っている。
というのも;(ⅰ)ひとつの試験は人数が少ないことである(prazzini,1999)、(ⅱ)もう一方の、人数がより多い試験(marcoux,1997)については、治療群は対照群に比べ妊娠数が高かったものの、患者が治療を受けているかいないか盲検化されていないと思われた。
さらに、その治療群の妊娠率にしても、他の研究の対照群の妊娠率よりも低かった。


B 中等症から重症では、手術による病巣切除が妊娠率を上げるというRCTもメタ・アナリシスもない。
3つの研究から、子宮内膜症の進行度と術後の自然妊娠率には逆の相関関係があるように思える。
ただし、統計的有意差が出たのは、そのうちの1つの研究のみである〔J注:東大の大須賀らの研究〕。
信頼度3
A >直径4cmの子宮内膜症性卵巣嚢胞では、腹腔鏡下核出術(cystectomy)が嚢胞内洗浄と凝固(drainage and coagulation)より妊娠率を改善する。
偽嚢胞(pseudo-capsule)〔J注:チョコレート嚢胞の袋自体のこと〕を切除せずに子宮内膜症性嚢胞を凝固またはレーザー蒸散することは、嚢胞再発リスクの有意な上昇を伴う。
信頼度1b


術後治療
A 手術単独、あるいは手術+プラセボと比べて、術後のホルモン治療は妊娠率に何ら効果はない。 信頼度1a



● 生殖補助医療

子宮内膜症の生殖補助医療


人工受精
A 人工授精(IUI)は、軽症から中等症の妊孕性を改善する。
排卵誘発を伴う人工授精は効果的だが、排卵誘発をしない人工授精の効果は不明確である。
信頼度1b


IVF
B 体外受精(IVF)は、とくに卵管機能障害に適応がある。
男性不妊、またはあるいは他の不妊治療の失敗例も適応となる。
信頼度2b
A 子宮内膜症性不妊のIVFの妊娠率は、卵管不妊より低い。 信頼度1a

上記はシステマティック・レビューによるが、ワーキング・グループでは、子宮内膜症は妊娠率に悪影響を及ぼさないという他のデータベース(例えばSART、HFEA)の結果を注記している。


A 子宮内膜症の女性では、IVF〔J注:体外受精〕またはICSI〔J注:顕微授精〕の実施前の3~6ヶ月のGnRHアゴニスト治療で、妊娠率が上昇すると考えるべきである。
しかしながら、コクラン・レビューの著者らは、このことが1つのランダム化研究(randomised study)に基づく結論であることから、とくに作用機序についてさらなる研究を求めている。
信頼度1b

B 再発リスクは、子宮内膜症3期~4期の手術後にIVF療法を差し控える理由とはならない。 その理由としては、子宮内膜症の累積再発率は、IVFにおける卵巣過排卵刺激法〔J注:一般的な排卵誘発法のこと〕の後に増加しない。 信頼度2a
A IVF/ICSI前の、直径3~6cmの片側子宮内膜症性嚢胞を有する患者の腹腔鏡下核出術・体内法は、その周期の結果を改善せずに卵巣の反応性を減少させる。 信頼度1b

J注:上記2点が今回新たに加わった項目で、1つ目は、先に3期~4時の保存手術をしてIVFをしても、再発には悪影響はない。2つ目は、体外受精や顕微授精の前にチョコの核出手術をすると、卵巣機能が低下して妊娠によくない。〕


GPP 腹腔鏡下卵巣嚢胞核出術は、細胞診による確定診断のために、>直径4cm以上の子宮内膜症性卵巣嚢胞がある場合で推奨される。
これにより感染のリスクは下がり、採卵しやすくなり、おそらく卵巣の反応性も改善する。
ただし、患者は術後の卵巣機能低下と、卵巣の部分喪失のリスクについて、説明されるべきである。
ただし、以前に卵巣の手術をしている患者への核出術は、考え直すべきである。

J注:チョコは核出手術のほうが内部洗浄・凝固・蒸散より妊娠率も再発率も良いと前に書いてあり、ここでも細胞診のために推奨し、卵巣の反応性も改善するなどの効果も書いているのに、一度手術した卵巣は核出手術しないほうが良いとまとめてある。再発チョコの扱いは悩ましい。〕

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