日本子宮内膜症協会【JEMA】
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JEMAの本と発行物

JEMAの本 「はじめに」より 本の目次

子宮内膜症の事実

『あなたを守る子宮内膜症の本』

日本子宮内膜症協会著/出版:コモンズ
2000年11月初版
1800円+税/A5判272ページ

子宮内膜症の決定版、2009年4月 1万5000部突破!

お取り寄せは、出版社コモンズ(TEL03-5386-6972/FAX03-5386-6945)への直接申し込みが便利です。(JEMAでは扱いません)

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「はじめに」より

子宮内膜症は、世界中の一億人ほどの少女や女性のQOL(生命・生活・人生の質)を長く脅かしている、現代の慢性疾患のひとつです。なぜ、この病気はこれほどまでにしんどいのか。その理由は二つあります。一つは、子宮内膜症のキャラクターそのものが、許しがたいほどに複雑かつ不明だからです。そして、もう一つの理由は、最初の理由ゆえに、医療にできることはさほど多くはないという世界的な現実のなかで、日本の医療環境が、欧米先進諸国と比べて整っていないという事実です(すべての科に共通)。


日本子宮内膜症協会(JEMA)は、94年に子宮内膜症の当事者たちが設立した非営利組織(NPO)です。この病気の国内外の医学・医療情報をつかむにつれ、何千人という女性たちの実態を把握するにつれ、日本の子宮内膜症に悩む女性たちに、早く、一日でも早く、たくさんのほんとうのことを知らせるべきだという使命感は、燃えあがるばかりでした。そして、設立から二年で強行したのが全国患者実態調査、その一年半後に産み出した書籍が、『子宮内膜症の事実』です。すると、これらは、私たちの予想をはるかに越えて、日本の子宮内膜症事情を動かし始める点火剤となっていきました。まず、もっとほんとうのことを知ろうと会員が増えました。そして、専門医たちが振り向いたのです。


しかし、次のジレンマはすぐに始まりました。100万人以上と言われるすべての女性たちと、12000人のすべての産婦人科医には、まだ、手が届かない。


94年以降、女性誌や健康誌では子宮内膜症特集がときどき打たれますが、その内容たるや、ますますJEMAを奮い立たせるものがほとんどです。まず、医療にもっとも要求される的確な診断力や治療の技術力よりも、女性によりそう赤ひげ先生やアメニティーランドのような医院ばかりが登場すること。こうなる理由は、女性を幼稚な対象と見ていることと、女性疾患の最大の問題を「子宮の機能と価値(社会通念でしかない)が損なわれること」と捉えているからでしょう。また、マスコミには〇〇ランキングが多彩に報道されるのに、命にかかわる医療だけが、どこでも同じとしか受け取れない誌面になっており、解説内容も旧態依然であること。こちらの理由は、何らかの判断をするに足る情報をもっていないからでしょう。こうして、月経痛を気にして病院に行く女性は増えましたが、薬漬けにあったり、つまらない手術を受けてしまったりというお話は、後を断ちません。


日本でも、世界に負けず、さまざまな分野の市民活動がほんとうのことを洗い出し続けています。そして、知り得た貴重な情報を、よりよい市民生活の創造のために公開しています。本書は、女性医療の分野でそれを成しました。本書の内容は、すべて、JEMAが日本の子宮内膜症の女性から得た現実情報を素材に(真の現状把握)、世界の最新医学・医療情報と照らし合わせて論を展開しています。公開する情報たちの選定基準は、がんの告知や、あらゆる情報開示を求める市民活動に準じています。


本書は、すべての子宮内膜症の女性や家族に読んでもらう必読書であると同時に、すべての産婦人科医・医療従事者・医療企業・医学生・厚生省にも読んでもらいたい、当事者エビデンス(患者・医療利用者にとって意味ある根拠)による新タイプの教科書です。とくに、子宮内膜症のあなたには、何度か読み返すことで、あしたからの自分と、子宮内膜症と、医療の関係をつむぎなおす、繭玉(まゆだま)にしてほしいのです。

日本子宮内膜症協会(JEMA) 代表 いぬい益美


--+++ 目 次 +++--

第1章 敵は自分のなかの子宮内膜症ではない

  1. いちばん大切なエッセンス
    もう、十分に悩んできたあなたへ /切実な悩みを、いっしょにときほぐしていきましょう /五つのいきづまり感をサポートする本です /自分をいとおしいと思えるように生きたい /この本はあなたです /もっとも必要な情報は自分を守るための情報 /正しくて有効な情報は、つらいこともある /医療者も正しくて有効な情報をもっていなかった /同じテーブルにつき、情報交換から始めよう /医療者のみなさんへ /もう二一世紀になるのに、医療はまだ変わらないのですか? /私たちは「医療の質」で選択する
  2. 二〇世紀の日本の子宮内膜症医療
    もっとも必要な情報が得られないまま医療に翻弄される女性たち /この薬で治る、妊娠すれば治ると説明してきた医療 /残るのは不信感や自責感 /薬はぞくぞく出たけれど…/医療者が「治らないな」と認識した時期 /インフォームド・コンセントとはほど遠い日本の診察室 /欧米ではすでにインフォームド・チョイスの時代 /医療の情報棄民から、医療の主役へ /参考になる三冊の一般向け情報書 /三つのデータ
  3. だれも知らない日本の医療の質
    受けた医療で運命が決まる /医療の質が見透かせる医療ミスという事故 /日本の医療の質を左右しているものたち /「薬漬け医療」が医療の質をとくに下げている /日本の医療技術の質にはかなりの幅がある /医療施設を選ぶための情報がほしい /医療の評価システムがないから、開示すべき情報がない /市民の健康を守る医療システムに変えるために
  4. 心身に深く影響する家族との関係性
    親と娘は他者である /家族には共感してほしい /一〇代からそれは始まっている /パートナーに男女の役割を考え直してほしい /不妊と家族イメージ /家族との関係性が心身に及ぼす影響
  5. 自分を守るために
    医療改革に共同参画しよう /自立した子宮内膜症の女性になるために

第2章 子宮内膜症の医学(病気の正体)を知ろう

  1. 望ましい医療や医師を選ぶ基礎情報をもつ
    ムダな医療、よくない医療、危険な医療から心身を守る /専門家たちが動いた、医療におけるエビデンス(科学的根拠) /でも、現実はそう甘くはない /「薬」と「排卵と月経、女性ホルモン」の知識だけでも、もってほしい /医療に信頼がもてる時代をよびこむ、私たちの消費者行動
  2. 生殖器の構造とはたらき
    子宮や卵巣って、どこにあるの? /子宮の構造とはたらき(おもに胎児を育てる臓器)/卵巣の構造とはたらき(排卵と女性ホルモン分泌をする臓器) /腫れやすい卵巣 /卵管・腟・外性器の構造とはたらき /自分のからだと友達になろう /外性器が化学物質に触れすぎる時代
  3. 女性のからだとはたらき
    女性ホルモンが演出する月経周期のドラマ /子宮内膜症と深い関係のある子宮内膜に起こる、ものすごい変化 /女性ホルモンのもう一つの大切な役割 /月経血と月経量、統計からみた月経 /PMS(premenstrualsyndrome)=月経前症候群 /更年期、閉経、高年期(老年期) /月経サイクルによる現代女性の受難
  4. 子宮内膜症の正体
    子宮内膜症は現代の慢性疾患の一つ /子・宮・内・膜・症って? /いつごろ始まって、どうなるの?(自然史) /どんな人がなるの?(発生危険因子) /何人くらいいるの?(発生率) /子宮内膜症の種類 /併発が多いわけだから、説明を求めよう /いろいろな病変と癒着(私たちの腹腔内のようす) /決定版がない進行期分類 /子宮内膜症の最大の特徴は「活動する病変」 /ミクロの戦士たちの迷走や暴走(発達・痛み・不妊の根源) /症状を増やし、治療をむずかしくする元凶は、癒着 /子宮内膜症とがんの近さと遠さ
  5. 子宮内膜症の症状
    確定診断の子宮内膜症の女性たちの自覚症状 /現状把握の視野が狭いと、提供する医療がズレることがわかる、臨床診断の混じった自覚症状データ /臨床診断の混じった自覚症状データは日本の医療実態もよく示している /月経痛、月経時以外の下腹部痛(骨盤痛)、不妊が三大問題 /痛みの状況 /痛みが始まった時期と進行との関係 /痛みのメカニズムと神経系の伝達システム /子宮内膜症の痛みのメカニズム /子宮内膜症における不妊のメカニズム /不妊と不妊医療のエッセンス /不妊であること
  6. なぜ、子宮内膜症になったのだろう
    なぜ、始まるのだろう(組織発生) /発生要因・発生危険因子は何だろう(病因) /人間という自然が、現代社会のなかで苦しんでいる /ほんとうにエストロゲンが悪いのか? /私たちの生き方が悪いのか?

  7. ダイオキシンと子宮内膜症
    内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)とは /環境ホルモンが生き物に及ぼす影響 /ダイオキシンやPCBが人間に及ぼす影響 /複雑な動きをするダイオキシン /ダイオキシンと子宮内膜症の関係、ダイオキシンと母乳の関係 /六〇年から八〇年のダイオキシン汚染が深刻 /有害化学物質を体内から出す方法と、私たちにできること
  8. 子宮内膜症が女性の人生に及ぼす影響
    「人並みの人生がおくれない」と苦しむ女性たち /行政の子宮内膜症対策は少子化対策? /子宮内膜症の個人を越えた社会的な問題 /厚生省子宮内膜症研究班の仕事

第3章 子宮内膜症の医療(病院ができること)を知ろう

  1. 「治療」すれば「治る」という幻想
    EAからのプレゼント /病気をもった人間に医療ができること /子宮内膜症で「治療」ができること、あなたができること /日本の医療には「治療」すれば「治る」という幻想がある /治療の「適応」をあいまいにし、みんな新患だというマイナーネットワーク /患者と医療者のコミュニケーションがない(説明責任の軽視、患者からの情報を軽視)
  2. 医師の「松竹梅」で決まる診断の光と影
    望ましい子宮内膜症の診断 /病状診断が重要 /確定診断には腹腔鏡手術を /臨床診断は、Dr.松・竹とDr.梅では意味がまったく違う
  3. 医師の松竹梅で決まっていた日本の治療状況を、私たちの選択で変えていく
    治療メニューはいろいろある /現代医療以外にも、私たちに役立つ道具はたくさんある/日本と北米の治療状況は正反対で、薬物治療の様子も違う /痛みでも不妊でも保存治療の中心は手術で、薬ではない /治療でもっとも高い効果が長く続くのは、Dr.松の腹腔鏡手術 /腹腔鏡手術とは /卵巣チョコレート嚢胞の保存手術 /保存手術を有効にできる医師にめぐりあえないときは /強い短期薬物治療(GnRHアゴニスト・ダナゾール)のメカニズムと限界 /強い短期薬物治療の副作用 /強い薬物の副作用を軽くし、長期に使う工夫 /弱い長期薬物治療(とくに低用量ピル)のメカニズムと使い方 /日本の市場にはない薬たち(臨床試験中、輸入していないなど) /症状に対する治療 /子宮内膜症における不妊にどう対処するのか /子宮内膜症と痛みと不妊の関係 /治療選択を惑わせてきた情報(全摘手術など)

第4章 からだと心を癒して、病気とともに生きる

  1. 「医療」と「セルフケア」と「セルフヘルプ」のトリプル効果で、病気を改善しよう
    子宮内膜症はあなたの一部にすぎない /セルフケア(養生)とは、ちょっと昔のふつうの暮らしぶりのこと /セルフケア(養生)は症状を和らげ、免疫力や生命力をつけてくれる / ひとりぼっちじゃないという実感(セルフヘルプの効用
  2. JEMA(当事者市民団体)にできること

◆ 巻末資料

* 日本子宮内膜症協会とは
* 参考文献一覧
* 子宮内膜症の専門家リスト
* 主な薬の添付文書 
* 子宮内膜症の20世紀(年表)


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