日本子宮内膜症協会【JEMA】
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子宮内膜症とは?

1.女性ホルモンと月経 2.子宮内膜症ってどんな病気 3.子宮内膜症の症状 4.子宮内膜症の医療、診断と治療

1.女性ホルモンと月経

1)月経周期における卵巣と子宮のドラマ

女性の身体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンのリズミカルな分泌の変化により、ほぼ4週間を1サイクルとして排卵と月経を繰り返しています。

脳からの命令ホルモン(FSH、LH)が卵巣に届くと、月経の2日目あたりから、両方の卵巣で20個前後の卵胞(※1)が育ち始めます。この成長過程の卵胞たちがエストロゲンを分泌します。月経初日から数えてほぼ2週間目に、条件が整えば排卵(※2)が起こります。排卵されるのは最も大きくなった1個の卵胞だけで、他の卵胞たちはその前に消えていきます。卵巣では排卵した部分の抜け穴が黄体に変化し、エストロゲンとプロゲステロンを分泌します。排卵期に卵管で卵子と精子が出会って受精し、その受精卵が子宮に移動して着床すれば妊娠が始まりますが、そうでない場合は、排卵からほぼ2週間あたりでエストロゲンとプロゲステロンの分泌が急に下がり、月経が始まります。

ここで覚えておいてほしいことは、卵巣の排卵が先に起こり、それを含めた4週間の結果として子宮が月経を起こすのだということと、女性ホルモンを分泌するのも卵巣だということで、卵巣こそ重要な臓器であるということです。

このサイクルの中で、子宮も劇的な変化を繰り返しています。子宮は厚さ1センチほどの筋肉でできた袋で、その内側は子宮内膜※3と呼ばれる粘膜でおおわれています。月経から排卵までの低温期にはエストロゲンが作用して、子宮内膜は次第に分厚くなります(約1ミリメートルだったものが1センチ前後まで増殖する)。排卵後の高温期ではエストロゲンとプロゲステロンの両方が作用し、子宮内膜は栄養たっぷりのやわらかい状態になります。きたるべき着床(妊娠)に備えているのです。妊娠が成立しなかった場合には、増殖した部分の子宮内膜は不要となり、血液とともにはがれ落ちます。これが月経です。

※1 卵胞  卵胞液で満たされた袋の中に卵子(約1mm)が1個浮かんでいるもの。最大2cmくらいまで成長する。卵巣はふだんは3cmほどの大きさの臓器だが、排卵期は盛り上がって5cmほどにもなる。

※2 排卵  卵巣と卵管はつながっておらず、卵巣が腹腔内(お腹の中の空間)に排卵した卵子を、卵管全体が生き物のように動いて先端の卵管采から取り込む。

※3 子宮内膜  人間の身体はおよそ200種類、60兆個の細胞で成り立っているが、子宮内膜細胞ほど増殖(細胞分裂)する能力をもった細胞は他にはない。エストロゲンの影響で増殖するが、高温期になってプロゲステロンが働かなければ細胞分裂が止まらず、がん化してしまうほど。子宮内膜では血管が豊富に発達し、グリコーゲンという糖分も盛んに分泌されるなどの特色もある。この子宮内膜が、ないはずの場所に勝手に発生するのが子宮内膜症。

月経周期とからだの変化
月経周期とからだの変化

(出典)青野敏博「女性の一生とホルモン環境」(『産婦人科治療』VOL.64,1992年)より改変

2)女性ホルモンのもう一つの大切な働き

卵巣と子宮が繰り返す劇的な変化をあやつっているのが2つの女性ホルモンですから、女性は初経から閉経までの40年間にもわたって、妊娠の準備のためだけに女性ホルモンを分泌しているのかと思いがちですが、エストロゲンとプロゲステロンは、女性の心身の健康を総合的に保つという、もう一つのとても大切な役割をはたしています。

特にエストロゲンは、骨量が減ることや血管にコレステロールが溜まりやすくなることを防いでいますし、脳や皮膚などの健康も保っています。男性では40代から増えはじめる生活習慣病(動脈硬化、高血圧、脳梗塞や心筋梗塞など)が、女性の場合は閉経までかなり抑えられているのは、エストロゲンのおかげです。プロゲステロンは、エストロゲンの作用が暴走しないように抑える役目をもっています。


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